総量規制対象外で融資を受けられるローン一覧

総量規制対象外で融資を受けられるローン一覧

総量規制対象外で融資を受けられるローンは、複数あります。

総量規制は、借り主を多重債務等から保護するために貸金業法で定められた法律です。

しかしながら、融資を必要とする状況は個人により異なり、内容によっては総量規制対象外とされているものも存在します。

その他、貸金業にあたらない銀行や信用金庫、労働金庫等からの融資も総量規制対象外となります。

総量規制対象外の融資を検討する際は、現在の自分の借り入れ状況や、借り入れの目的も踏まえて検討する必要があるのです。

この記事でわかること

  • 銀行のローンは総量規制対象外
  • 総量規制対象外は大きく分けて2種類
  • 除外貸付は総量規制になじまない貸付
  • 例外貸付は借入可能だが借入残高に加算される

総量規制対象外のローンは複数ありますが、特徴はそれぞれ異なります。

銀行のローン以外にも、条件次第で消費者金融や信販会社でも総量規制の対象としない借り入れが可能です。

この記事では、総量規制対象外となる融資の特徴を、種類ごとに詳しく説明していきます。

総量規制対象外のローンは複数ある

総量規制対象外のローン、融資の種類も複数ある

総量規制対象外のローンは、貸金業者以外からの借り入れの他にも複数あります。

総量規制対象外で融資を受けられるローンは、以下の通りです。

  • 銀行系カードローン
  • 銀行系フリーローン
  • 銀行系目的別ローン
  • 奨学金
  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • 医療ローン
  • おまとめローン
  • 医療ローン

上記は一例ですが、他にも条件を満たす限り、総量規制の対象外として融資を受けられるものもあります。

総量規制対象外で融資が受けられるものにも種類があり、融資が可能とされる理由も様々です。

ここからは、それぞれのローンについての特徴や利点について説明します。

銀行のローンは総量規制対象外

銀行のローンは対象外。他社の借入額を考慮

総量規制は貸金業者に対する規制のため、貸金業者以外からの借り入れとなる銀行のローンは対象外です。

例えば、同じカードローンであっても、契約先が銀行か消費者金融かにより総量規制の対象となるかが異なります。

しかしながら、金融庁では消費者の多重債務を防止するため、銀行に対しても審査の際には他社の借入額を考慮するよう通達しています。

その結果、銀行では自主規制として他社を含む借入額の総額を、年収の1/2〜1/3までと定めているところが少なくありません。

総量規制対象外とはいえ、銀行でも他社の借入額により借り入れが可能な額は制限されます。

その他、クレジットカードを利用したショッピング利用分は総量規制の対象外です。

クレジットカードに付帯したカードローンについては貸金業法の範囲となるため、総量規制の対象となります。

銀行のカードローンは借入限度額内であれば何度でも借入可能

銀行のカードローンは、借入限度額の枠内であれば何度でも借り入れが可能です。

カードローンはATMで気軽に借り入れや返済が可能であり、使途も自由なものがほとんどなため、利便性に優れています。

借入利息は実際に借り入れした金額にのみかかる点も、安心材料のひとつでしょう。

金利は消費者金融よりも銀行が低い傾向にあり、取り引きに応じて優遇金利を設けている場合もあります。

最近では、店頭に来店せずにスマートフォンやパソコンで契約が完結したり、口座を保有しなくても契約が可能だったりと利便性はますます上がっています。

銀行のフリーローンは一度にまとまった額を借り入れる

銀行のフリーローン。まとまった金額を一度で借り入れる

銀行のフリーローンは、まとまった金額を一度で借り入れるローンです。

追加の借り入れには、別途申し込みから始めなければいけません。

フリーローンはカードローンとは異なり、全額を使わなくても借り入れた金額に対して利息が発生します。

金利は、フリーローンの方がカードローンよりも低い傾向にあります。

自分の利用目的や金額、契約条件によってカードローンと比較し、検討する必要があるでしょう。

取り引きのある銀行であれば、優遇金利も受けられる可能性があるため、窓口で相談するのも効果的です。

銀行の目的別ローンは目的に合った金融商品を選べる

銀行の目的別ローンは、目的に合わせたローンから選択が可能です。

目的別ローンの取扱いは銀行ごとに異なるため、まずは取り引きのある銀行に相談するのが良いでしょう。

おもな目的別ローンは、以下の通りです。

  • 住宅ローン
  • マイカーローン
  • 教育ローン
  • リフォームローン
  • ブライダルローン等

目的別ローンは、カードローンやフリーローンと異なり、名前の通り目的に合った用途に限定されます。

金利は、銀行のローンの中ではもっとも低いとされています。

借入方法はフリーローンと同じく、一度に全額借り入れる証書貸付型です。

奨学金は学校を通じて申し込む進学のためのローン

奨学金は学校を通じて申し込む、進学のためのローンです。

しかしながら、奨学金の使途は自由なものが多く、学費以外に引越し代金や光熱費にあてても問題ありません。

奨学金の貸付の多くは日本学生支援機構が行っているため、貸金業社からの借り入れにはあたらず、総量規制の対象外となります。

類似のローンに教育ローンもありますが、もっとも大きな違いは契約者です。

教育ローンは、安定した収入がないと契約できないため保護者が契約をしますが、奨学金は生徒本人が契約者となります。

そのため、返済の際は生徒自身に請求がいきます。

総量規制対象外は大きく分けて2種類

総量規制対象外。融資の特徴で2種類に分類

総量規制対象外は、大きく分けて2種類存在します。

総量規制対象外の中でも、融資の特徴により以下の2種類に分類されています。

  • 除外貸付
  • 例外貸付

総量規制は、個人の借り主が多重債務に陥らないように貸金業者に対して定められた法律です。

そのため、総量規制の概念にあてはまらない内容の融資や、借り主にとって有益な融資等は制限の対象からはずれます。

法人についても、総量規制の対象外です。

除外貸付と例外貸付の大きな違いは、借入額の総額に関する点。

除外貸付は借入額の総額に含まれませんが、例外貸付は含まれます。

つまり、例外貸付の金額は、次回の貸付の際に影響するということです。

除外貸付は総量規制になじまない貸付

総量規制になじまない貸付。除外貸付

除外貸付は、総量規制になじまないと判断されている貸付です。

日本貸金業協会では、除外貸付について以下の通り明記しています。

①不動産購入のための貸付け(いわゆる住宅ローン)

②自動車購入時の自動車担保貸付け(いわゆる自動車ローン)

③高額療養費の貸付け

④有価証券を担保とする貸付け

⑤不動産(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く)を担保とする貸付け

⑥売却予定不動産の売却代金により返済される貸付け

など

引用:総量規制が適用されない場合について【貸金業界の状況】 | 日本貸金業協会 (j-fsa.or.jp)

住宅ローンや自動車ローン等は、基本的に年収の2/3に収めるのは現実的ではありません。

一般的に低金利で長期間の借り入れとなり、社会的にも住宅ローン等は融資として一般的であるといえるでしょう。

住宅ローンは総量規制対象外だが他社の借入は審査に関わる

住宅ローンは総量規制対象外ではありますが、毎月の返済可能額に関わってくるため、他社からの借入額は審査に影響します。

例えば、融資を受ける際には年収から毎月の返済可能額を割り出します。

他社からの借入がある場合は、その分の返済額を差し引いた額が毎月の返済可能額と判断されるのです。

その結果、希望の融資額が受けられない可能性も考えられるため、他社からの借り入れは可能な限り完済しておきましょう。

契約のみで利用していないローンであっても、いつでも借り入れが可能と判断されるため、借入限度額は返済可能額に影響します。

不要なローンは、事前の解約が必要です。

自動車ローンは車の購入に限られた金融商品

自動車ローンは、車の購入に使途を限定された金融商品です。

自動車は、新車ではなく、中古自動車でも問題ありません。

自動車ローンは、銀行以外にも信販会社で取扱いがあります。

銀行と信販会社の自動車ローンについての特徴は、以下の表の通りです。

取扱い金融機関特徴
銀行・金利が低め
・審査は信販会社より厳しい
・融資まで時間がかかる
信販会社・金利が高め
・審査は銀行より通りやすい
・融資までが早い

自動車ローンについても、住宅ローンと同様に総量規制対象外とはいえ、他社からの借入額は返済可能額に関わります。

今後の資金計画を踏まえて、利用の際は検討が必要です。

医療ローンは病院の提携金融機関で申込みが可能

医療ローンは、急に高額な医療費がかかる際に、病院の提携先の金融機関で申し込みが可能です。

保険適用内の療養費は、国の高額療養費制度を利用した場合、後日戻ります。

ただし、高額療養費制度は、事前に申し込みが必要です。

上記の内容から、医療ローンは高額療養費制度でまかなえない部分の借り入れにあたると考えられます。

医療ローンの取り扱い金融機関は、銀行の他に信販会社が挙げられます。

医療ローンは目的別ローンにあたるため、銀行であれば金利も低めであり、総量規制対象外です。

信販会社の場合でも、治療の内容によっては除外貸付として総量規制対象外と認められる場合があります。

例外貸付は借入可能だが借入残高に加算される

借入残高に加算される、例外貸付

例外貸付は借り入れが可能な点は除外貸付と同様ですが、借入残高に加算される点が大きく異なります。

したがって、除外貸付で融資を受けた金額と他社からの借入額を合計した金額によっては、次回の借り入れが難しくなる可能性があります。

その場合でも、総量規制対象外である除外貸付と例外貸付は借り入れが可能です。

日本貸金業協会では、例外貸付を以下の通り明記しています。

【例外】

⑦顧客に一方的に有利となる借換え

⑧借入残高を段階的に減少させるための借換え

⑨顧客または顧客の親族等の緊急に必要と認められる医療費を支払うための 資金の貸付け

⑩社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金(10万円以下、 3ヶ月以内の返済等)の貸付け

⑪配偶者と併せた年収3分の1以下の貸付け(配偶者の同意が必要。)

⑫個人事業者に対する貸付け(事業・収支・資金計画の提出により、返済能力を 超えないと認められる場合には、貸付けが可能。さらに、貸付金額が100万円 以下の場合には、上記計画の提出に代えて、事業・収支・資金繰りの状況が 確認できる書面の提出により、貸付けが可能。)

⑬新たに事業を営む個人事業者に対する貸付け(要件は、上記⑫と同様。)

⑭預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでのつなぎ資金に係る貸付け

(注)上記①から⑥の貸付けについては、総量規制の「適用除外」として、総量規制にかかわらず 借入れは可能であり、また、借入額が借入残高に算入されないため、その後の借入れには影響 を与えません。 他方、⑦から⑭の貸付けについては、総量規制の「例外」であるため、総量規制にかかわらず 借入れは可能ですが、借入額が借入残高に算入され、借入残高が総量規制の基準を超過した 場合、その後の「適用除外」や「例外」を除く借入れはできなくなります。

引用:金融庁カシキンQ&A qa.pdf (fsa.go.jp)

上記の内容は、顧客の利益の保護に支障がないと判断される借り入れを指しています。

おまとめローンは複数のローンをまとめて契約しなおす金融商品

おまとめローンは、現在借り入れている複数のローンを、一本のローンにまとめて契約しなおす金融商品です。

ひとつにまとめることで得られる利点はいくつかあり、管理が容易となったり、金利が下がったりが考えられます。

おまとめローンは、銀行以外にも、消費者金融等の貸金業者で申し込みが可能です。

総量規制対象外の借り換えに該当する条件として、日本貸金業協会では下記のように明記しています。

総量規制の「例外貸付け」に該当する「借換え」であるための条件

(一部・概要)

(1)借換えの対象となる債務は、貸金業者からの借入債務全般。銀行からの借入債務や、親族・知人などからの借入債務は対象になりません。

(2)「借換え後」の金利が、借換え前の金利を上回らない。

(3)返済方法は、約定に基づく返済により段階的に残高を減らしていくことを要件とする。

(4)1か月の負担額について、借換え後の負担額が、借換え前の負担額を上回らない。

(5)担保・保証に係る要件について、借換え後の条件が、借換え前の条件より厳しくならない。

引用:2 総量規制にかかわらず、お借入れできる貸付けの契約があります

上記の特徴は、例外貸付条件である顧客に一方的に有利になる借り換えにあたります。

貸金業者でおまとめローンを検討する場合は、事前に自分の状況を相談すると安心でしょう。

ビジネスローンは返済能力が認められる個人のみ借入可能

ビジネスローンは、返済能力が認められた場合のみ、個人であれば総量規制対象外として借り入れが可能です。

そもそも、法人は総量規制の対象外とされています。

個人事業主は総量規制の対象となりますが、事業計画や収支計画等を確認したうえで返済能力に問題がないと認められた場合のみ、年収の1/3を超えた借り入れが可能となるのです。

個人事業主が貸金業者で借り入れをする方法は以下の2つありますが、借り入れの目的により取扱いが大きく変わります。

  • 事業資金の借り入れ
  • 消費者としての資金用途の借り入れ
借入方法概要
事業資金の借入・事業資金等の借入
・事業、資金、収支計画書を提出し、返済能力が認められた場合は上限金額の制約なし
・借入金額100万円以下の場合は事業計画等の提出の代わりに、事業、収支、資金繰りの状況がわかる書面で借入可
消費者としての資金用途の借入・教育資金、レジャー等の借入事業所得のうち、安定した収入として認められたものを総量規制の基準とする年収とし、年収の1/3まで借入可。

つまり、借り入れの目的が事業資金等で返済能力に問題ないと認められた場合には、総量規制対象外の取扱いとなるということです。

総量規制対象外となる借入方法は複数ありますが、個人の状況によって適用されるものや最適な借入方法は異なります。

すでに総量規制の対象となる借り入れが年収の1/3に近い額がある場合は、総量規制対象外となる銀行や信用金庫、労働金庫等の貸金業者以外での借り入れを検討しましょう。

銀行は金利が低めに設定されていますが、貸金業者と比較して、審査に時間がかかるうえ厳しいとされています。

融資まで急ぐ場合や審査に不安がある人は、自分の借り入れ理由が総量規制の対象外となる除外貸付や例外貸付にあたるか、貸金業者に相談が必要です。

総量規制対象外の借り入れとなった場合でも、例外貸付は借入額の総額に含まれるため、次回の借り入れに影響します。

総量規制対象外とはいえ、融資を受ける際は今後の資金計画も考慮し、慎重に借り入れを検討する必要があります。